パートタイマー、アルバイト、契約社員、準社員等、
各企業で様々な呼称で呼ばれている有期雇用契約の今後のあり方について、
厚生労働省が「有期労働契約研究会」の報告書をとりまとめ、公表しました。
報告書は、有期労働契約の不合理・不適正な利用を防止するとの視点を持ちつつ、
雇用の安定、公正な待遇等を確保するためのルール等について検討すべき、としています。
具体的には、契約締結事由の規制、更新回数や利用可能期間に係るルール、
雇止めに関するルール、有期契約労働者と正社員との均衡待遇や
正社員への転換等の論点について、課題をまとめています。
厚生労働省では、この報告書を受け、
有期労働契約のルールのあり方について、検討を進めていくとのことですが、
内容はかなり従業員寄りとなっています。
今後、従業員を手厚く保護する方向で法制化が進められていくことが十分に予想されます。
以下、報告書に掲載されている3つのポイントをご紹介します。
1 締結事由の規制、更新回数や利用可能期間に係るルール、
雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用の法理)の明確化
① 締結事由の規制
有期労働契約の締結の時点で利用可能な事由を限定することを検討。
② 更新回数や利用可能期間に係るルール
一定年限等の「区切り」を超える場合の無期労働契約との
公平、紛争防止、雇用の安定や職業能力形成の促進等の観点から、
更新回数や利用可能期間の上限の設定を検討
(有期労働契約の利用を基本的に認めた上で、濫用を排除。
稀少となる労働力の有効活用)。
③ 雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用の法理)の明確化
定着した判例法理の法律によるルール化を検討。
2 均衡待遇及び正社員への転換等
有期契約労働者のうちには、正社員と同様の職務に従事していても
正社員に比較して労働条件が低位に置かれている者が相当割合存在。
また、頑張ってもステップアップが見込めないことへの不満は高い。
このため、パートタイム労働法も参考に以下の施策が考えられる。
1 正社員との間の均衡のとれた公正な待遇
★ 正社員と同視し得る者は均等待遇、
その他の者にも均衡待遇(努力義務や説明責任)との措置は、
多様な労働者を対象に実情に即した対応可。(参考:パートタイム労働法)
★ 「不利益取扱いの禁止」のみの場合、
一般的には職務給体系が採られていないことを前提とすると、
判断に困難を来す等の懸念
2 雇用の安定及び職業能力形成の促進のための正社員への転換等
★ 雇用の安定、職業能力向上の観点から、
正社員転換措置の義務付けやインセンティブ付与等の検討
★ 一挙に正社員に転換することはハードルが高いこと等から、
正社員転換のほかに、無期化を図りつつ、勤務地限定、
職種限定などの多様な雇用モデルを
労使が選択し得るようにすることも視野に
(勤務場所の閉鎖等の際の雇用保障のあり方については、
実例等の集積の状況も注視しつつ、検討)
3 その他の課題
1 現行の大臣告示による明示事項(更新の判断基準等)の法定事項への格上げの検討。
2 契約締結時点で契約期間についての書面明示がない場合の一定の効果付与等の検討
(その際書面明示を行うべき「時点」についても、紛争防止を念頭に検討)。
★ 現行の大臣告示による雇止め予告等の法定事項への格上げの検討。
予告手当あるいは契約終了時の手当の検討。
★ 1回の契約期間の上限(現行原則3年)については、
労使からは延長する具体的ニーズは把握されず、
上限維持が一つの方向。
3 1年経過後は従業員がいつでも退職できるとする暫定措置については、
役割を終えたものと考えてよいかさらに議論。
(2011.09.27)




中野人事法務事務所