『だいたい人生で起こることに「原因・結果」という言い方をしても、
ほとんど役に立ちません。
「あなたが原因です!」とその人に言っても、
それだけでは何の解決にもならない。
それなのに、みんな原因の追究に熱心で、
しかも原因が分かったら終わり、くらいに思っている。
でも「原因・結果」でカタがつくのは理科の問題くらいなものです。
「おまえが悪い」「あんたが反省しなさい」などと言って
終わるようなものなら、問題とは言いません。
そんな単純なものではないはずです。
いろいろ考えて、その人自身とその人の周りの全体が
変わっていかなければ仕方がない。
それは本当に大変なことです。
だから問題が起きたらば、その原因を追究するんじゃなくて、
それによって、自分はどう生きようとするのかを考える。
その問題は自分の生き方とどう関わっているのかを考えたらいい。』
臨床心理学者・心理療法家の河合隼雄さんの著書、
「Q&A こころの子育て」の中の文章です。
子育てがうまくいかないのは母子関係が原因でしょうか?
というお母さんの問に答えた文章の一部です。
ここまで書いてしまうと、名言のレベルを超えて
名文章になっていますが(笑)、素敵なコトバなので、
ご紹介させていただきます。
それにしても、耳が痛いコトバです・・・。
常日頃、何か問題が起きた時に、まずその原因を探しがちですが、
こと人間関係に関しては、原因が見つかったからといって
即問題が解決する訳ではない、ということのようです。
続けてこんなことも言われています。
『何か起こった時に、すぐに「お母さんが悪い」「だれのせいだ」
とか思わないことです。
母子関係と言っても、そのお母さんが子供だった時の母子関係、
そのまた前の母子関係が、今の母子関係に影響しているわけです。
そういうのはだいたい、もう三代ぐらい続いていることが多い。
「その家の運命」というか、「家族のテーマ」というか、
そういうものを子供が背負っているわけです。
だから子供に問題が起きた時は、その家族全体にとって、
何か課題を乗り越えなければならない時が来ているのだ、
と考えてみたらいいですね。』
この回答は子育てに関するものですが、
組織に当てはめて考えることもできると思います。
例えば、組織がギクシャクしてうまくいかない時、
その犯人探しをして、「あの人のせいでうまくいかない。」と
その人を組織から外そうとする。
その行為は、河合さんが言うところの
"原因が分かったら終わり"状態だと思います。
原因が見つかったから終わり。
あとはその原因を外科手術のように取り除けばOK、
という考え方です。
ただ、今回のコトバを考えてみると、
そういった犯人探しは、表面的な解決であって
ナゼうまくいかないかという本当の課題は
もっと根深い所にあるのかもしれません。
原因ばかりに注目せずに、それを考えることで、
組織の課題やテーマが浮かび上がってくるのかもしれません。
日々の問題の接し方について考えさせられる
素敵なコトバでした。




中野人事法務事務所